Research interests
― 研究の概要 ―


 植物細胞の中には葉緑体ミトコンドリアの3つゲノムがあります。葉緑体とミトコンドリアの起源となったバクテリアが宿主細胞に取り込まれ細胞内共生してきた過程で、バクテリアが持っていた大半の遺伝子が核ゲノムに移行し、核、葉緑体、ミトコンドリアそれぞれのゲノムができあがったと考えられています。核ゲノムに移行した遺伝子は、その遺伝子産物(蛋白質)を葉緑体やミトコンドリアに輸送することにより、光合成や呼吸などを支えています。このような葉緑体やミトコンドリアの機能を発現したり調節したりするのに数千個もの核遺伝子が働いています。
 当研究室では植物細胞の中で重要な働きをもつ葉緑体やミトコンドリアの機能発現の仕組みをさぐるため、核ゲノムに内蔵された遺伝情報を明らかにし、それらの遺伝情報発現制御の分子メカニズム解明をめざしています。


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遺伝子発現制御
Regulation of Gene Expression

 

 葉緑体とラン藻の遺伝子の発現制御の仕組み、とくにバクテリアや動物の遺伝子の発現とは異なるユニークな点に注目して解析しています。現在、研究室では葉緑体の転写後制御(RNAレベルでの制御)について重点的に解析を行っています。RNA編集などの転写後制御には様々なRNA結合タンパク質PPR蛋白質が関与しています。これらの蛋白質はすべて核ゲノムにコードされています。

▼RNA編集に関する最近の発表論文:

●Tasaki, E., Hattori, M. and Sugita, M. The moss pentatricopeptide repeat protein with a DYW domain is responsible for RNA editing of mitochondrial ccmFc transcript. The Plant J. 62, 560-570 (2010)

●Okuda, K., Chateigner, AL., et al.: Pentatricopeptide repeat proteins with the DYW motif have distinct molecular functions in RNA editing and RNA cleavage in Arabidopsis chloroplasts. Plant Cell 21, 146-156 (2009).

●Yura, K., Miyata, Y., Arikawa, T., Higuchi, M. & Sugita, M.: Characteristics and prediction of RNA editing sites in the transcripts of a moss Takakia lepidozioides chloroplasts. DNA Res. 15, 309-321 (2008).

●Okuda, K., Nakamura, T. et al.: A pentatricopeptide repeat protein is a site-recognition factor in chloroplast RNA editing. J. Biol. Chem. 49, 37661-37667 (2006).

●Sugita, M., Miyata, Y., Maruyama, K. (17年度卒研生)et al.: Extensive RNA editing in transcripts from the psbB operon and rpoA gene of plastids from the enigmatic moss Takakia lepidozioides. Biosci. Biotechnol. Biochem. 70, 2268-2274 (2006).

 

 

 

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ラン藻のゲノミクス
Genomics of Cyanobacteria

 私たちは単細胞淡水性ラン藻の一種である、Synechococcus elongatus PCC6301株(別名Anacystis nidulans 6301)のゲノムの全塩基配列を決定しました。ゲノムの中にはおよそ2600個のタンパク質遺伝子が存在します。その半分の遺伝子の機能は不明です。研究室では国内外の多くのラン藻研究者と協力して全ゲノムの機能の解明を目指して研究を進めています。

Sugita, C., Ogata, K., Shikata, M., Jikuya, H., Takano, J., Furumichi, M., Kanehisa, M., Omata, T., Sugiura, M. and Sugita, M.:
Complete nucleotide sequence of the freshwater unicellular cyanobacterium Synechococcus elongatus PCC 6301 chromosome: Gene content and organization. Photosynthesis Res. 93, 55-67 (2007).

杉田護、杉田千恵子: シアノバクテリア「ゲノミクス・プロテオミクスの新展開ー生物情報の解析と応用」(今中忠行監修)、エヌ・テイ・エス、pp. 101-112 (2004).

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